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指定管理者制度Q&A

備品等の減価償却の取扱について、買換え後の備品等や資本的支出と考えられる修繕をどのように会計処理すればよいのでしょうか


指定管理者は企業会計(または公益法人会計など)に基づく会計処理を行う必要があります。一方、自治体の会計は、企業会計等とは異なり、基本的には、現金主義で会計処理が行われます。このため、指定管理者制度においても、この会計処理の違いから、さまざまな問題が発生します。備品等の減価償却の取り扱いもその例のひとつです。

通常、買換え(修繕)前の備品の所有権は自治体に帰属していますが、買換え後の所有権は、募集要項や仕様書によりあらかじめ定められていて、自治体に帰属する場合と、指定管理者に帰属する場合の両方のケースがあります。(修繕は、たとえ資本的支出(備品等の価値を向上させる修繕)であったとしても、ほぼ100%、所有権は自治体に帰属します。)

この、買換え後の備品等や資本的支出と考えられる修繕をどのように会計処理するかについては、自治体と指定管理者の会計処理の違いに加えて、税務上の取り扱いも関係してくることから、問題が非常に複雑になります。

【買換えの場合】
①自治体が費用負担し、所有権が自治体に帰属する場合
●この場合は、自治体の備品等を自治体が買い替えたのですから、指定管理者が
会計処理を行う必要はありません。

②指定管理者が費用負担し、所有権が自治体に帰属する場合
●本来的には、指定管理者が費用負担したものが自治体の所有になるわけですか
ら、指定管理者から自治体の寄付ということになります。この寄付受領の手続
きを自治体が行えば(自治体から寄付受領書が発行されます。)、指定管理者
も寄付として費用処理を行い、税務上も寄付ということで、費用負担全額を損
金算入することが可能です。

●ただ、自治体によっては、寄付受領の手続きを行ってくれない場合が多々あり
ます。もし、自治体が寄付受領の手続きを行ってくれない場合は、指定管理者
は問題が発生します。それは、所有権が指定管理者にないため、会計上、指定
管理者は、当該備品等を資産計上できません。したがって、資産計上していな
い備品等を減価償却もできないことになりますが、税務上は自治体への寄付と
は認められないため、備品等の購入として減価償却を行う必要があります。

●このような場合、会計上、一番正確に処理しようとすれば、買換え額全額を費
用処理して、税務上損金算入できない額を税効果会計により処理するというこ
とになります(会社法上の大企業(資本金5億円以上など)は公認会計士の監
査を受ける必要があるのでこのように処理するべきです。)。ただ、私が知っ
ている範囲では、通常は複雑な処理を避け、あくまで会計上は備品等が指定管
理者に帰属するものとして減価償却していることのほうが多いようです。(金
額が大きくないことが前提です。)

●なお、指定管理料とは別に、あらかじめ修繕費の枠が定められており、年度末
に精算して、買換えや修繕に使用しなかった分は自治体に返納するという方法
を採用している自治体があります。

これは、買換えや修繕が必要となった場合に、補正予算を議会に提出して予算
を確保するという手続きをしていたのでは時間がかかりすぎるという理由で採
用されており、言葉は適当でないかもしれませんが、わかりやすく言うと、備
品等の買換え・修繕に必要だと考えられる金額を年度初めに指定管理者に預
け、使わなかった分は返納してもらうという仕組みです。

本来自治体がするべき買換え(修繕)を指定管理者に預けた資金で実施してい
る(所有権も自治体に帰属します)わけですから、実質的には自治体が行う買
換え(修繕)です。ところが、形式上は、自治体から指定管理料が支払われ、
指定管理者が備品等を買換えているので、税務署から指定管理者の備品等購入
として減価償却を行うよう指導される場合があります。指定管理者から見る
と、使った金額と同じ金額を自治体からも受け取るだけなのに、受け取った額
は益金となり、支払った額は減価償却処理なので、一部しか損金算入できず、
法人税が発生することになります。これも、自治体が寄付受領の手続きをして
くれれば問題ないのですが、してもらえない場合は、原則を言えば、法人税を
支払うしかありません。ただ、あくまで、自治体の支払い業務を代行している
にすぎないので、きちっと税務署に説明すれば、理解を得られる可能性がない
わけではありません。

自治体によっては、税務署への説明資料用として、修繕費枠の部分について
は、自治体の指示により執行する(つまり、指定管理者自身の判断で使用でき
ない)旨の公文書を発行しているケースもあります。当該自治体の指定管理者
に税務調査が入っていないので、税務署が認めるかどうかの結論は出ていない
のですが、自治体にこのような公文書を出してもらうのもひとつの方法だとは
思います。

③指定管理者が費用負担し、所有権が指定管理者に帰属する場合
●この場合は、指定管理者が当該備品を購入したことに他ならないのですから、
会計上も税務上も減価償却が必要です。問題は、指定管理期間と当該備品等の
法定耐用年数の関係で、法定耐用年数が指定管理期間内に到来する場合はよ
いのですが、そうでない場合は、指定管理期間中に当該備品の減価償却が終了
しません。

●ということは、指定管理期間内に当該備品の購入金額全てが費用として計上さ
れないこととなります。これは会計上や税務上はそんなに大きな問題ではない
のですが、自治体への報告書を提出する場合には注意が必要です。指定管理者
は、自治体に毎年、収支計算書を提出する必要があります。自治体には企業会
計の概念はありませんから、ほとんどの自治体の報告書様式には「減価償却 
費」という科目はありません。ただし、実際に備品等を購入した場合は、当 
然、資金を投入したのですから、「その他」の項目にでも減価償却費を入れる
べきですが、指定管理期間内に減価償却が終了しない場合は、これでも費用が
過少計上(=利益が過大計上)になります。自治体から見ると、利益が上がっ
ているのだから、次回の指定管理者公募においては指定管理料をもっと減らせ
るという判断がされやすく、次回からとは言え、過大計上になっている利益を
もとに指定管理料を減らされることは、決して望ましいことでありません。

●このような場合は、自治体担当者に当該備品が指定管理業務用に購入したこと
を説明したうえで、自治体への収支決算報告については、指定管理期間を耐用
年数とみなして、減価償却する処理を自治体に提案してみてください(もちろ
ん、税務上は法定耐用年数で減価償却します。)。
耐用年数は税法上はルールがありますが、税法以外は実態にあわせた解釈が可
能なので、基本的には自治体担当者も理解してくれる可能性が高いと思いま 
す。

【修繕の場合】
修繕の場合は、自治体と指定管理者が備品類を共有(または区分所有する)こ
とは処理としては、まずあり得ず、ほぼ100%所有権は自治体に帰属します。

①資本的支出でない場合
●資本的支出でない場合は、会計上では費用処理、税務上では損金処理が可能
です。資本的支出でない場合はシンプルな会計処理ができ、法人税増加等の問
題も発生しないので、修繕の場合はできる限り、資本的支出にならないように
することが大切です。

●一般に、備品等の機能がアップしたり、耐用年数が伸びたりする場合は資本
的支出になります。ということは、性能をアップしない、耐用年数をのばさな
い、つまり、最小限の修繕にとどめる必要があるのですが、一方で、利用者・
職員の安全性や利便性を考えれば性能をアップさせるほうがよい場合もあり、
税の問題だけで修繕の範囲を絞ることは本末転倒です。

②資本的支出の場合 
●資本的支出の場合は、【買換えの場合】の所有権が自治体に帰属する場合と
同じ問題が発生します。つまり、「所有権が自治体に帰属する買換えの場合」
と同様に考えてください。

まとめ
指定管理者制度における、減価償却の問題、特に税務上の問題については、複
雑でなかなか解決できないことも多いのですが、おおむね以下のような対策を
講じれば、影響を最小限にとどめることができると思います。

①税務上、10万円未満は損金処理できるので、買換えにしても修繕にしてもなる
べく10万円未満にすること。特に、分割すれば金額が10万円未満となるものは
なるべく分割して経理処理すること。(注:あくまで使用価値がある最小限度
にしか分割できません。
パソコンとプリンタは分割できますが、パソコンをハードディスク、キーボー
ド、液晶画面などに分割することはできません。)

②管理運営上問題がないなら、性能アップや耐用年数延長につながる修繕はなる
べく避けること。

③性能アップや耐用年数向上が必要な場合は、修繕業者に、本来の修繕に必要な
費用と性能アップ(耐用年数延長)に必要な費用を分けて請求してもらい、本
来の修繕に必要な部分だけでも損金処理すること。 

④買換えや資本的支出で10万円を超える支出をした場合は、自治体に寄付受領の
処理を依頼すること。寄付の処理をしてもらえない場合は、自治体とのやり取
りを記録しておき、募集要項とともに税務署への説明資料として保存しておく
こと。


最後に
指定管理者制度は、まだ始まったばかりで、十分な知識がない税務署職員もた
くさんいます。したがって、十分説明することにより、税務署の見解が変更さ
れることも決してめずらしくはありません。
簡単にあきらめてしまわずに、自治体職員や税理士等の専門家にも協力しても
らって、税務署に理解してもらうよう努力することが大切だと思います。

回答:東條 圭
(株式会社ブレインファーム 外部コンサルタント)

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